RADIOHEAD
THE 6TH ALBUM "HAIL TO THE THIEF"
大転換作『キッド八』『アムニージアック』で大胆に導入したエレクトロニックなサウンドとハード
ディスクを駆使したI。今作ではそうした手法をいくぶん手憤れてリラックスして使いながらも、
基本的には「バンド演奏」に回帰したと言える作品だ。『キッド八』がI年半以上にも及ぶレコーディ
ング日数を要したのに比べ、合計で6週間で終わったとトムは言っている。トムが曲の原型となるデ
モ00111を3枚作り、殳+1を元にバンドがセッションしてレコIディングすると^スまるで普通の
ロック.バンドのような方法に戻ったようだ。『キッド从』『アムニ Iジアック』は、それぞれのアイ
デアをとにかく片っ端からデータにしてコンビユI夕に取り込んでエディッ卜にエディッ卜を重ね、
さまさまなヴアージョンが次から次へと増殖していき、一枚の作品としてまとめることができずに結
果的に2枚になったという壮絶な作品だった。それに比べると、今作は5人組のバンドとしてのレデ
ィオヘッド、ヴオIカル、ギター、ベース、ドラムをメインとしたロック'ハンドとしてのレディオ
ヘッドとしての基本にふたたび戻った作品と言っていいと思う。メンバーは全員、ロを撤えて今回の
レコーディングがいかに楽しくて健全だったかを嬉しそうに話している。そういう意味ではレディオ
ヘッドは無事に大きな転機を終え、次の章へと向かうことができたと言っていいだろう。このアルバ
ムは『キッド八』『アムニージアック』以降の「ロック」、である。
だが、実際にこのアルバムを聴いていると、メンバIが?っほどには大きく変わっていないという
印象をなぜか抱いてしまう。確かにエレキ,ギターのワイルドなプレイやダイナミックなドラムのサ
ウンドは前2作とは違ってふんだんに聰くことができる。でも、根本的には何も変わっていないんじ
やないか、という印象を持つ。そして、ある意味その印象は正しいのだ。なぜならサウンドが変わっ
ても、レディオヘッドが、トム.ョークが表現しようとしている世界観が変わっていないからだ。3
作目のアルバム『0^コンビユーター』から『キッド八』『アムニージアック』、そして今作と、レデ
ィオヘッドはIつの同じ世界観をなんとか音像化しようとしてずっとこだわり続けている。創作法や
レコーディング方法をめまぐるしく変えてきた〖」の4作は、内容に関しては実はむしろ同じテーマを
切り口Iえて掘り下げているにすぎないのだ。感情、物語、非情、匿名性、距離、無脈絡、といっ
たさまきまなやり方を使って、レディオへッドは何かを表現しきろうとずっと取り組み続けている。
今作『ヘイル.卜ゥ\ザ.シーフ』も、そういう意味では同じだ。では、その「何か」とは何か。
それは、うまく言えないのだが(当然だ。レデイオヘッドが何作もかけて表現しようとしているこ
とをうまく言葉で言い表せるわけもない)、あえて言IみはIだ。
この世界の、あらゆる時代のあらゆる場所に間違いなく存在するもの、それは絶望である。そして、
時間とともに刻々と膨らみ続け、やがて世界のすべてを覆い尽くしつつあるもの、それは絶望である。
トム^ョークほど、その大きな事実に対して真正面から向き合おうとしているロック,アーテイスト
は他にいない。彼が『0队コンビューター』以降、鬱々としたIに変わつてしまつたのに気付いた
人は多いだろうが、そこからさらに5年間もの閎、ずつと「世界の鐘」という途方もないテーマに
取り組み続けているその情熱には鬼気迫るものがある。では、なぜそこまでしてトム.ョークは絶望
を描かなけれはならないのか。
誤解を招いてはいけないのでここで言つておきたいのは、卜ム,ョークは絶望を描くことに取りつ
かれた絶望フエチなどではまつたくない、ということた。トムがやつていることをもう少し正確に言
足は「99%の鐘を描く」となる。またこう書くと誤解を招きそうだが、「99%の絶望と1%の希望」
とかいう子供だましの話ではないのだ。そんな思わせぶりな文学一」つ【」をやるぐらいならまだ希望だ
けを歌う能天気なポップスの方が罪がない。卜ムが見ているのは、文字通リの99%の絶望だ。そこを
見、描くことに徹し切つている。残りの1%に関してはいつさい関知していない。ノ1.コメント、
なのだ。なぜか?方法はそれしかないからだ。絶望を見、知り、描ききることだけが、残つた1%を
かろうじて示唆することができる。うまくいけは、次なる誰かがそこに何かを見出す可能性(のよう
なもの)を準備することができる。しかし本当は、「次なる誰か」もまた99%の絶望を知るところから
しかスター卜できないという意味では、ここにもまた絶望はあるのだが。絶望の中で全力で生きなが
ら、「1%の何かを示唆するにとどまる一殳」というものが連綿と続いていく「砠双」。歴史とい
のの薄暗さの正体はこれである。それでも、いやそれだからこそ、アーテイストはどれだけ確かなも
のとしてその1%を示唆することができるかにすべてがかかつている。この彼らの4^5:罾
いてきて、少しずつクリアになつてくる絶望のリンヵクを見つめながら、そいつを眠らせるための子
守り歌ぐらいは聞一」え始めたような気がするのだ。幻聴に過ぎないのかもしれないが。
山崎洋I郎
『キッド八』『アムI 丁ジアック』は、
誰ひとリ聰I」うが聰くまいが
どうでもよかったんだ。
でも今は、自分達がやってる音楽に対して
野心を持とうって思った。
ビー卜ルズを聰いて、そう思ったんだ
何が起きても抵抗しなかったし、リハーサル中に
もある音を拾ったらそれでいくっていぅ感じで。
音楽も言葉も自分の外で起I」る」とに任せたん
だよ。『Iに任墓つてい、孓、そ6^先に進
むのがいいんじゃないかって。何かまたすさまじ
く革新的な宜首を発し^/^!
よりもね
籲聴きました、『ヘイル.トウ.ザ.シーフ4
「あ、ネットで?…::ははは。いや、今回のはすごく明
瞭なアルバムだと僕は思ってるんだ。でもすベての人に
とってそうではないかもしれないょね。だから出来るだ
け説明するつもり」
籲すごい。じやょろしくおねがいします。
「うん。あ、ときどき落書きしてるかもしんないけど
(と、いつも持ち歩いているポケットサイズのノ I卜を広
げる。既に何か書いてある)。リラックスできるんだ」
#〔笑)。ではまず、今作のイメ Iジ、構想はいつ頃から
どんな風に始まったんですか。
「うん、始まりはまず僕が「アムニージアック」のあと
半年間のオフをとって田舎に引っ込んだ時だな。日々ノ
アが成長するのを眺めながら、アフガニスタン紛争やら、
戦争だのテロだのに関するラジオの報道を聴いてた。あ
まり何もしてなかった。音楽的には殆ど何もやってなか
ったって感じなんだ。やったことっていえば他の4人に
聴いてもらうように00を3枚作っただけ。その頃ちよ
ろちよろといじってたものを何でもかんでも突っ込んで。
エドに「やりかけの曲、なんでもいいから00に録って
聴かせてくんないか』って言われたのがきっかけで、そ
れが結局3枚になってしかも全員に配ることになったん
だけど。で、それをやってる時、ラジオから流れ出てく
る中から自分が影響されてると思うフレーズやィメ ージ
を拾い出して、長い長いリス卜を作ったんだよ。でも別
THOM YORKE interview
に意識した作業じやなくて、それ-】そ仕事だったわけで
もないし曲を書いてたわけでもないんだ。だけど今作が
どこから始まったかといえば、その時期からってことに
なるんだよね」
●その3枚の00がどういうふうにレコーデイングへと
つながっていったんですか。
「全員で集まった時に言ったんだIあ、このやり方っ
てバンドを始めた頃のやり方と同じだったんだけどね、
ガチャガチャといろんなもんが入ってる力セツ卜を僕が
持ってきてそれが出発点になって、もちろん他のものも
大歓迎だしって感じでIで、今回みんなに言ったのは、
『手早くレコIド作ろうぜ』ってI】と。しかもツアIを....
そうだ、これはエドのアイデアだったんだけど、まだ新
曲の音|つ鳴らす前から新曲卜ライアル,ツアーをブツ
キングしちやったんだ。僕はかなり怠け者だからその件
で文句ばっかり言ってたんだけど、結果的には良かった
んだよね。で、それがあのスペインとポル卜ガルのツア
丨だったわけだけど」
●昨年の夏の。
「そうそう。で僕的には、みんなに送ったの何|つ
誰も気に入らなくてもいいから、またゼロから始めりや
いいんだからって姿勢だったんだ。どうも変なんだけど、
自分ではあの中には何もロクなもんないしって思ってて
……少なくとも僕自身はそう思ってたんだよ。詞につい
てもそうで、ちやんとした歌詞なんか|つも書いてなく
て、ただ自分にとって意味のある言葉の羅列が書き留め
てあるくらいで。でも、.....っん、うちの彼女のレイチ
ェルが『なるように任せればいいじやないの』って言っ
ててさ。そのことがムフ回のレコーデイングを通してずっ
と頭にあったんだ。何が起きても抵抗しなかったし、リ
ハーサル中にもある音を拾ったらそれでいくっていう感
じで、要するに音楽も言葉も自分の外で起-一るに任せた
んだよ。で、まあそうい、っ感じだったんだけど、要する
に凄い勢いでレコーデイングしなきやならなかつたつて
いうのが良かったんだよね。あれこれ分析してる間がな
かったから。いや、凄いなと思うんだけど、曲がとって
もライヴに近いままになっててさ。ライヴで演った時は
「ふーむ初日としてはなかなか面白いI】とになってるな、
でもまあスタジオに入つたらバラバラにしていろいろく
っつけ直して』なんて考えてたんだけど、実際には……
それもやってみようとしたんだけど最終的には諦めたよ
ね。で、なるがままだ!っていう(笑)」
●『キッドパ』『アムニージアック」は一年半にも及ぶ長
く混乱した作業の果てに「結果的に」出来たアルバムで
したが、今作はその発想と手法をモノにしたレデイオへ
ッドがそのままの勢いで--。
「うん、それって意識してたことなんだよね。半年休ん
だあとで全員が感じてたと思うんだけど、僕達いろんな
違うものに触れてきたわけだし、そのままで先に進むの
がいいんじやないかって。何かまたすさまじく革新的な
官|言を発しなくては!なんていうよりもね。1】れってさ
っき言った『なるに任せる』っていうのに通じてるんだ
けど。曲を作り終えてツアーに出て演ってみた時にやた
ら楽しくて、あれは驚いたよね。で、実際のアルバム完
成に至るセッションはというと、これがめちやくちや楽
しかったわけだ。ほんとに。最初の」《のセッションは
2週間だったんだけど、その間にアルバムの7割ぐらい
出来ちやったし。そのあと4週間かな、自分達のスタジ
才でやって、どの段階も楽しかったよ。唯一楽しくない
時っていうのは疲労困パってたからで。そういう時には
中止すればよかったしね。そこも前と違って、以前はど
んなに疲れてても、いや続けるんだって自虐的にやって
たから。今は、うまくいかない時は他の方法があるって
わかってる」
●いろんな意味で、前回のプロセスの学習の成果を血肉
化して、確信的に作った初のアルバムといえるんじやな
いですか?
「そう思、つ?それつていいことなのかな(笑)。まあ、
前もってかなり1したってい、っ点では確信的だったけ
どね。実際の作業方法としては「0ドコンピユー夕—」
にむしろ近いんだけど、要するにスタジオに入って、演
奏してそれをある瞬間で捉えてハイそれまで、っていう
ことで。でも『キッドパ」「アムニ Iジアック』は演奏自
体は『】く少なくてスタジオを利用して作り上げるってい
う作業だったんだ。今回は僕達とナイジェルとで別々の
部屋にいて別々の作業をするってい、っプロセスで、コン
卜ロール,ルー厶のナイジェルがサゥンド面で0ドを出
せば翌日はまた別のものを始めるってい、っ。丨日丨曲み
たいなぺースで録ってたんだよね。おかげで2週間もや
ったあとでは最初の週に何をやったかもう忘れてるくら
いで。すごくよかったよ、5人でバンドをやってるとな
ったらそれって最高に楽しい部分だからね。プログラミ
ングみたいな個人作業よりずっと楽しい。もちろん今作
でもプログラミングはやってるけど、それも比較すれば
速い作業だったし」
僕連もともとこの世界』、「変わった460ちゃん」
的な役割につく定め家ったんだと思うな。いろ
いろ風変わりな〖」とやって、それはそ#いいん
だけど、時々はもっと「イI丨イ!」みたいなその
場の勢いがあってもいいのに、って思われるよう
なさ(笑)
●『キッドパ』『アムニージアック』と同じく全く得体の
知れない音像でありながら、それが今回はロック,ミュ
丨ジックとしてのダイナミズムにつながるとI〗ろが面白
いと-〗ろだと思ったんですよね。
「、っんうん、それは要するに僕達がサゥンド的には前2
作に共通するものいろいろ取り入れながらも、実際には
楽器をセッ卜アップして演奏して、っていうやり方をし
たからだよ。あの2枚をライヴで演ってほぼ全部を生^!
演奏できるようになったっていうのは大きかったよね、
まだ出来ない部分もあるけどさ。"キッドム"とか。で!^
あれだっていつか出来るようになるかもしれないし。僕
はエレクト口 -一 ツク,ミユージツクにえらく長いこと取
り憑かれてたし、今でもそのI部は大好きなんだけど、
自分のアングルとしてはあの手のエレクトロニクスもの
の世界に入っていくなら実際のパフォーマンスを伴わな
いと、つてことがわかつたんだよ。なんというか、出た
とこ勝負な部分がないとね」
●あれほど離れていたエイ卜ビー卜やギタIのコードス
卜ロークによるロック的なアプローチを今回取り戻した
のはなぜ?
「なぜだろ、っな?……どっから戻ってきたかとい又ば……
……待って、考えてるから。そうだな、理由はニつある。
まずIつは素朴に、エドが『曲を00にしてよ』つて言
った時、要するにあいつが言ってたのは『おい、おまえ
曲の手持ちがいっぱいあるじやねえか、それが"曲,だ
っていうだけで俺達に一生弾かせない気だな-】の野郎!」
ってことで(笑)。ま、その手の気配はちよっとあったわ
け。勿論かまわないんだけどね。ほら、自分ではみんな
に渡した00の曲がどれもいいと思えなかったっていう
のも、当時の僕の頭は全く違うとこにいってたからで。
でもまぁ、だんだん自然にあの手の音楽にまた戻ってい
ったんだね。自分の手持ちのエレクトロニックものを聴
くのにも|時飽きちやつたし。でまた、いろんなレコー
ドを買い始めて。ちようど引越しで、僕のレコードはす
ベて食庫入りして手元には数枚の00しかなくてI」
●それって?
「えっ、あー……(急に小声になって)言わない。ハハ
ハ。だつてさ、ちよつと」
●「卜厶,ョークの3枚」として広まつても困るか。
「いずれにしても僕は全然音楽を聴かなくなる時期って
けっこうあって。音楽的な-】とでいえば決定的なポイン
卜の|つってIいやこれは全く脱線した話なんだけど、
|時期よく車で田舎道を走り回ってたんだよね、日が蟇
れる頃に。それでこのアルバムに〃グローミング(夕暮
れ時)"っていう副題がついてるんだけど。その頃僕が住
んでたと-】ろつてすさまじく現実離れして不気味な雰囲
気で、車で走ってると頭の中が周囲の夢みたいな世界に
溶け込んでいっちやうんだ。でもって、すさまじくいや
な予感がしてきて。そんな中でジョニーにもらったペン
デレツ^--のチェロ,コンチェル卜を聴く。これがもう
どうしようかっていうくらい、それ-〗そ僕が今まで耳に
した中で|番ぞっとする音楽でね。それをかけて運転す
るわけ。いろんな動物がぱっとへッドライ卜の光で照ら
し出されたりするのが目の端に入ってきたりして。その
へんから僕は音楽をまた聴き始めたんだよ。まあアルバ
ムには反映されてないけど、きっかけはそれだったんだ。
君だってあるだろ、今は何も聴きたくないやっていう時
期。昔はそういうのに罪悪感を感じてたけど、今じやそ
れって健康だって思うよ」
●っん。話はちよっと戻るんだけど、『キッド〈」のイン
タヴュIで「ロックなんか退屈だ。だってゴミ3511日楽じや
ないか」と言ったあなたの発言が印象的だったのですが、
そういう認識によって生まれたアナーキーな2枚のアル
バムが結果的にロックの可能性を裏付けたというI。
「うん、そうだったかもしれない。でも……うん……僕
は最近、いわゆるロックが次々とレトロものに変異して
いくのが興味深くてしよ、っがないんだ。どうしてそうい
うことになるのかは、士惡玉に理解できるよ。僕達もとも
とこの世界じや、『変わったおっちやん』的な役柄につく
定めにあったんだと思うな。いろいろ風変わりなことや-って、
それはそれでいいんだけど、時々はもっと『イェ
—イ!」みたいなその場の勢いがあってもいいのに、っ
て思われるようなさ(笑)。けど、そうやって立場が決ま
つてきちやうと良くないところは、マスコミはそういう
のが好きだから「よしよし、このバンドはこっち系ね、
でこれはこっちでと」みたいになって、『なるほどわかっ
た、誰もが状況をよく把握してる、昔とそっくりだ!』
つてことになつちや、つ。ウンザリだよね。それに失礼千
万な話だと思うんだよ、僕達みたいな30代かそれ以上の
連中が若い子達に向かって『これはきっと気に入るぞ、
俺達も君ぐらいの年の頃にはこういうの聴いてたんだ、
すごくいいから」Iなんて。ったく、いい加減にしろ
よって感じだよな。今のそういう風潮がどうも妙でしょ
うがない。でも一方で、エレクトロニック\ダンス系の
方も今はあんまり刺激的とは言えない。いい音楽ってど
んなものでも目の前でドカンと爆発するパワーがあるも
んだけど、それが今、全く欠けてるんだよね」
何かとても素朴で基本的な-」と|っ^^V
感じがする。最終的に満たされるのは歌なんだ
よね。僕はえてして横道に逸れたりい^^な領
域に入り込んだリしてきたけど、気持ちとして
は12歳の時か、冬っ」とって言えば、結局一」
れなんだよ
●なるほどね。で、ロックの手法によって表現できる「感
情」をいったん捨て去って2枚のアルバムを作りました
が、それらのアルバムは結局は新たな強い「感情」を聴
き手に呼び起こしましたよね。それはすさまじい覚醒感
と暴力性と喜びのようなものだったのですが。その実感
はあなたにもありましたか。
「、っん、でもそれは意外なことだったんだ。だって僕と
しては意図して……いや、そこまで括ることはできない
な。『意図して感情的にならないようにした』つて言お、っ
としたんだけど、"ハゥ.トゥ.ディサピア〜"みたいに
すごく威〗情的な曲だってあったわけだしな……0だから、
もし今あの2枚を聴き返してみたら、あんまり|般化は
出来ないと思うんだけど……ただ明らかな違いは、あの
頃の僕はあんまり歌うのが好きじゃなかったってこと
(笑)。自分の声があんまり好きじゃなかったんだ。今は
また平気になつたけど」
●自分の中の何かを取り戻したって感じがあるのかな。
「、っん、ほんとそうだと思、っ」
●でもそれは、円を描いて同じところに戻つてきたわけ
ではない?.
「うん、違うね。あの頃は自分の中から何かが盗み取ら
れたような感じがしてて、でもそれが何なのかはっきり
わからなくて、それでムヵついてた。で、じゃあ楽器や
機材だけで何が出来るのか見つけ出してやると思って。
でもIただまぁ、自分の声もいいなとまた思い始めた
んだな。それに、歌、っにしても〗埋、っことも出来るんだな
って気づいたし。前みたいにメロドラマチックで芝居が
かつてやんなくてもいいんだと。その瞬間にふさわしい
音を普通に歌えば充分にパワフルなんだから。バンドを
始めた頃って感動させたくて必死で歌ったりするけど、
自然に出てくる音を迪っていくのだって充分ありだなと。
だから、それはよかったよね」
●今回は「ソングライテイング」が戻っていますがI。
「……すべてはエドのせいだ」
●(笑)いつたん「ソングライテイング」自体を放棄し
て、そのあとで卜ライする「ソングライテイング」とは
あなたにとつてどういうものでしたか。
「それが面白いことに、そんなに違、っプロセスじゃなか
つたんだよ。エレクトロニックなものを作つてる最中で
すらどこかの時点で、何かとても素朴で基本的なことを
やってるなって感じがして。で、それは昔から僕達が目
標にしてるものなんだ。あれこれ試してはみるけど、最
終的に満たされるのは歌なんだよね。歌が耐えられなく
て何ヶ月もI曲も作らなかった時期ですら思った。言葉
と音楽が合わさって特定のぺースにのって進む、それは
もう一】くシンプルなことで、どう飾り立てようが関係な
い、結局は同じことなんだよ。それがグ、ハックドリフツ"
だろうが"アイ.ウイル"だろ、っが。そこに至る過程は
ぎよつとするほど違うものなんだけど、終わるところは
同じ。僕はえてして横道に逸れたりいろんな領域に入り
込んだりしてきたけど、気持ちとしては|2の時からやつ
てる-】とつていえば結局-】れなんだよ」
僕はエレクトロ11ックものの連中の自己防衛的な
部分にす3」くうんさりしだ。なんで彼ら
がああなのかは100%わかるよ。こっちはぞい世
界だから、生き残っていくには〖」の世界に関^^
ないのが一番なんだよ。でもそこでの問題は、大
勢の人々に届かないって-」と。音楽の現状に全く
変化を及ぼせないこと
●そう言えば、ブラーのデーモンがあなた方のことを評
価してI。
「ああ、でも彼も今まさにやり始めたとこじやない?『わ
かった、もうやめようガチャガチャ言うのは」って……
いや素晴らしいね、あのシングル。凄いよほんと」
●彼は「バンドつてある地位まで到達してしまうとそれ
以上自分達を作り替えていく能力を失ってしま、っんだよ」
と言ってたんですが、まさに『06コンヒユー夕I』の
あとあなた方は自分達を作り替えようと、メンバー.チ
エンジ以外のあらゆることをやりましたよね。それこそ
バンド名を変えようとしたほどに。
「うん、バンド名はいつも変えようと思ってる(笑)」
●やっばりあそ-】が最も大きな転機だったと思いますか。
「そうだね。だって考えてもみなよ、バンド全員の観点
からしてみれば最も避けたいことだったわけだしさ。特
に他のみんなにはありがたくない話だったよ。一に、前
よりはるかに困難な仕事の仕方だったし、ニに、そもそ
もどうしてだよ?なんでム?,つていう。ずつとうまく
いってて、ある意味もっと推し進められそうなものを手
にしたとこなのに、って。でもそういう時期にもニつあ
って、時には僕が何か凄くいいものにぶち当たって、み
んなもどんどん推し進めようっていう^態になるんだけ
ど、あの時はそうじやなくて。あれはもう、全員が確実
な足場をみつけてて、よしもつとこれでいこうつて感じ
になつてて。で、残念ながらそれこそまさに僕としては、
|歩踏み出して再び足場を失う時だつたんだ。~〗れはま
あ僕の業というか必ずそうなるんだけど、やることがわ
かっててど、っ実現するか見えてたら、絶対に実現しない
んだよ。まあ、|種の疫病神だな」
●勇敢なんだともいえると思うけど。
「、っちに住んでみればわかるぜ。ほんっとに実現しない
から。アッハハハ。疫病神だよ」
●チヤIリI ,ミンガスとエレクトロ I |ック.ミユージ
ックが『キッドパ』と『アムニージアック』の時には重
要なインスピレーションになったと語っていましたよね。
|時期音楽を聴かなくなったとさっき言っていましたが、
ムフ作につながるようなインスピレーションの元はその後
何かあったのでしようか。
「むしろ、いろいろ聴くのをやめたことが大きいんじや.
ないかな。ほんとに何も聴いてなかったから。かなりの
間ね。唯I、深く考えさせられたのはビー卜ルズのレコ
丨ドを聴いたことで。引越しで全部箱にしまっちや、っ前
に拾い出してきたものの|部が実は……ビー卜ルズだっ
たんだ。で、|通り聴いてみて……これだー.すべてこ
~】に学ベー.なんてしようもないI】と考えたわけじやない
けど……ただ、彼らの作品にあるシンプルさにね、うん、
これはいいなって。手早く作ってシンプルにいく、自分
達がそういうのが得意なのはわかってて、でもしばらく
やってなかったし。で、彼らの作品ってとてもダイレク
卜で、でもそれだけじやなくて。そしてとても野心的。
そういうところが僕の中で仕事の仕方に影響したんだよ。
俺達も"アイ,アム^ザ^ゥォルラス"を作んなきや、
なんてわけじやなくてね。ただ、自分達がやってる^!楽
に関して野心を持とうって。『キッド〈』『アムニージア
ック」の2枚は野心とはそれこそ程遠い状態で、僕なん
かほんとに誰I人聴-】うが聴くまいがどうでもよかった
んだ。それこそ、自分達がバラバラにならずにアルバ!^^
がまとまったっていうだけでも驚きだったんだから、『,^
ッドパ」が出る頃にはもう他人の感想なんか知ったこ^^!
ちゃございませんだった。ま、ぁの頃の僕はさ丨き^
を抱えてみせる)。でも今度は違ったね。これはアルバム
完成前に人前で演ったことが大きいんだけど、聴き手を
説得しなきゃならないってのが凄く楽しかったんだ。ス
テージに出てつて、さあみんなに納得してもらわなきや
ってのが、とっても良かったんだよね。詞も、紙をみん
なに投げてみたりして。どうせみんな書き留めてたりす
るんだって知ってたから。だから詞についても包み隠し
しなかったし。僕はね、自分達の作品がCD棚の|番上
の段に収まっちゃうのはまだいやなんだよ。あと何年か
してほんとに歳とつたらそういうのを作るのもいいと思
うけど、今はまだ違うっていうIあのね、僕はエレク
卜ロ ニックものの連中の自己防衛的な部分にすっ『】くう
んざりしてるんだ。なんで彼らがああなのかは100%わか
るよ、自分を守る努力をするのは彼らにとって当然のこ
とだし。つまり、僕なんかはまるっきり反対側の人間で
メジャー.レーベルにいるわけで。彼らが壁を作るのは
もっともなんだ。こっちはひどい世界だからね。特に最
近はもう、生き残っていくにはこの世界に関わらないの
が一番なんだよ。初めからメジャーに拾われてなければ
捨てられもしない。でもそこでの問題は大勢の人々に届
かないってこと、音楽の現状に全く変化を及ぼせないっ
てこと。自分達のシャボン玉の中にいるんだからね。そ
れって絶対に為にならないと思うんだ。だってそれじゃ
僕のような人間が横から美味しいと一〗取ってくだけであ
とに何も残らないってい、っ。ほんとは、彼らも外に出て
きて、みんなのもとに届くべきなんだよ。けど、それが
また彼らの本質でもあるわけでね。僕が昔からエレクト
ロニクス世界の何が羨ましかったか、いや羨ましいかっ
てい、っと、音楽にパーソナリティが要らないってこと
で。こ、っいうィン夕ヴユーも殆どやんないし、有名人
崇拝みたいなのがないし、赤を着ようが白を着ようが
髪がどこまであろうが、ただ音楽を聴けばいいー.凄
いー:‘::何の話だつたんだつけ。全然思い出せないじや
ん」
"バックドリフツ"は怒っIん:^芝……キ^!
んだな。I番キ栏状態。相当^0。僕の新。ハタ
丨ンのノイローゼ一式にようこそ、だ。ちょっびリ
中年なパターンになってる(笑)
●(笑)じゃここで歌詞について訊かせて下さい。今回
は『キッドパ」の「シルクハット方式」のような偶発性
とエディッ卜によるものではなく、曲と歌詞がしっかり
と|つの意味やイメージを形作っている曲も何曲かあり
ますよね。たとえば"アイ.ウィル""ア.パンチ.アッ
卜.ア.ウェディング""ウイ,サック,ヤング參ブラッ
ド"とか。
「そうだね。うん。でも、実は作り方は今回もシルクハ
ッ卜方式なんだ。ほら、ラジオを聴いてて言葉のリス卜
を作ったって最初に言っただろ?詞の面ではそれがほ
んとに|番のインスピレーションだったから。今僕が思
う-〗とといえば、昔も今もいい歌詞は視覚性が高いって
いうことだけどね。だから、前とそ、っ〗埋いはないと思う
けどな。少なくとも意識して変えたところはない。前よ
り意味が通ってるとしたら、書き方が速かったからだろ
う...でも考えてみたら速くまとめるとどうして意味が
通るのかわかんないよな……いや君の言ってる通りなの
かもしれないよ。自分じゃあんまり考えてなかったんだ。
|つだけ詞について思ったのはさ、最後にきっちりタイ
プして打ち出してみてへえーと思ったんだけど、驚くほ
どわらベ歌が入つてるという(笑)」
●ああ。父親のトム,ョークがよく出てる詞だな、と思
いましたね。
「、っん、だってノアに向かって歌ったり読んだりしてた
ものが多いんだから」
●そうなんだ。
「だってあまりにひどいことの連続で、ラジオの話はこ
の世の終わりとしか思えない筋書きばかり、そんな中で
|日の終わりに息子を寝かしつけながら考えるわけだよ。
いったい自なんて意味があるんだろうかって……」
●どうにもやり場のない諦めみたいなものが漂っている
とも思ったんですが。
「そして同時に、これほど怒りに満ちた歌を書いたのは
初めてだと思ったよ」
●両方のバランスなんですよね。一つには、もうどうに
もならないんじやないか、遅すぎるんじやないかという
のがあって。
「そう、もう遅すぎるってね。でもそれは特に最初の曲
で、他の曲にはまた違うニュアンスもある。怒りのこも
ってる曲ほど静かなんだよ。"アイ.ゥイル"みたいに怒
ってる歌は今までにない。でもすごく静かなバラIド」
●バックドリフツ"もそういう曲調に、なかなか恐ろし
い詞が載っていますよね。
「うん、あれは怒つているというんじやなく……キレた
んだな。|番キレた^態」
●自分にゆるしたギリギリの1だと。
「そ、っ、なんとか踏ん張ろうとしてるんだけど……相当
きてる。まあ僕だよ。ハハハ。僕の新バターンのノイロ
丨ゼI式によ、っ-】そ、だ。ちょっびり中年なパ夕—ンに
なってる(笑)」
●でも全体的に、悲痛な叫びではなく淡々と事実が述べ
られていくという卜丨ンですよね。そして押し殺した感
情から逆に悲痛さが伝わってくるとい、っ。
「そうだよ。わめいてる奴はいない。文句たれてる奴も
いないといいと思うけど」
●々2 + 2 = 5,,の歌詞は、『ヘイル.トゥ.ザ.シーフ
(泥棒、万歳!)」というラインが含まれていることもあ
り、今のアメリカがやっていることに対するあなたのい
くぶん感情的なリアクションであると言えると思うので
すが、どうでしょう?
「これは完辟玉に、もう100%、レイデイオ4 (BBCラジ
才局のうちの|つで時事報道や知的卜丨ク番組が主)だ
よ。ノアと|緒に朝7時から9時、それから午後丨時〜丨
時半と5時〜6時、毎日ワールド.ニユIスを聴いてた。
それだけやつてれば溜まつてもくるさ」
偉大な指導者連は本気で正しい一!
,っ1と信じてて、連中は暗黒のシャドウに
取リ憑かれてしまっ15、要するにそういうも
のが人の姿を借りて存在してる状態なんだ。僕
連はそういう時代にい^^だよ。僕連の自己統
治権、未来に起〖I」~06発言権は、奪し
まった
●『ヘイル.卜ウ.ザ.シーフ」というアルバム.タイ卜
ルの意味は?
「僕にとつて、というか今の僕にとつての意味はね、そ
ういう時期があるんだっていう……この地球上の僕達が
ね……何かこ、っ、闇の力に乗っ取られてしまった時期な
んだとい、っ。これは僕のいかれた理論なんだけど、われ
われの偉大なる指,達は本気で正しいことをやつてる
と信じてて、連中は暗黒のシャドウに取り憑かれてしま
ってる、要するにそういうものが人の姿を借りて存在し
てる^態なんだ。僕達はそういう時代にいるんだよ。僕
達の自己統治権、自に起こることについての発言権は、
奪われてしまつた。僕達の自そのものが奪われてしま
つたんだ。それはすさまじく邪悪で……そう、……あら
ゆると-】ろでね」
●"セイル.トウ.ザ.ムーン"にもつながっているテー
マですね。
「その通り。でもね、決して現在のアメリカ政権だけに
向けられたものじやないんだ。あらゆる場所で言える-】
となんだよ。いまだに権力を手にしていて、その権力を
腐敗させて、それによつて自の僕達から権利を剝奪し
てしまつた奴は誰でもだ。彼らは自分達のやつてること
に気付いてないけどね。だつて本人達は正しいことやつ
てると思つてるんだから。連中は肩越しに「おまえは正
しい』という声を聞いてて、本気で信じてるわけだから
ね。このアルバムは僕にとってはまさにその声なんだ。
僕の肩越しに嘘を言、っ声。その声を発してるのと同じ奴
が、いろんな人間の肩にのっかってるのを時々僕は目に
する。あらゆる場所でね。そういう暗黒の影、人間の働
く悪事のあれこれ……これは僕の問題なんだけど、理解
できない行動がいっぱいあってさ。人はどうしてこんな
I】とがやれるんだろ、っ?つていうような-一とがね。でも、
人間はあらゆる1】とをやれてしまうものなんだと思、っ。
戦争みたいに、それこそまるつきり非人間的なこともさ。
それなんだよ、言ってるのは。まるでみんなの周りに雲
が覆っていて、それが見える人と見えない人がいる、っ
ていうか。現代的な善悪の概念は中世に誕生したわけだ
けど、それってこうい、っ、自分の外にある力のことを言
ってたんだと思うな。たとえば悪を働いたとい、っ-】とで
絞首台に送られたとしても、それは取り憑かれてるから
なんだっていう(笑)……そう、取り憑かれてたんだと思
うよ、みんな。それが僕の考え方なんだけど」
●性善説だね。
「そうだよ。そして、悪の力に取り憑かれてるんだ。右
翼が遂に永遠に消えたかと思つたところで、あらゆると
ころで盛り返してきてるし。インターネッ卜が出た時僕
達はみんな希望でいっぱいだった。これでもう誰も隠せ
ない、この情報ネットヮーク下で人々は互いに理解しあ
うしかないじやないか、等々。ところが……。で、その
シャボン玉がはじけると同時にテロリズムだの何だのの
ナンセンスが起こり、突然誰もが斧を振るい始めたと。
でも要するにそ-】で生み出されたのは偏狭と先入観と愚
かさと無知なんだ。そしてそれこそ、悪の力が求めるも
のなんだよ。最も奴が必要としているものだ。あいつら
はひっきりなしの戦争を欲してるんだ」
●ネッ卜といえば、未完成の音源がリークされましたが、
ネッ卜に対してはずつと積極的だつたあなたとしては今
回のような事件はどう捉えていますか。
「……どうにもしよ、つがないよね。多分に示唆してると
思うけど……音楽を作って昔と同じように食ってくのは
もう無理なんだ、って。自分達も|0年後には音楽で今の
ような収入は得てないだろうと思ってるし。ネットがあ
るからね。まあ、僕はなんとかやつていけるけど、幸運
なんだよ。でも、他の一生懸命やってる人達にはいささ
か気の毒だと思うよ。あと、これは言いたかないけどね
(笑)、已从丨は|ヶ月ぐらい前、僕に声明文を出させた
がってた。ネッ卜での音楽流通は!I禱だ、みたいなこと
をさ。でも思うんだけど、いいことは出てくるはずだよ。
メジャー系のレコード会社は当然受けるベき仕打ちだし、
も、っ前々から受けていい仕打ちだったんだ。これまでの
いろんな悪行が宿命となって巡ってきたんだし、勿論そ
れは僕の方にも巡ってきてるってことだよ。まあどうな
るんだか……でも、ショックを受けてるわけじやないん
だ。全然。残念ではあるけどね。と僕は思うな。ただ、
別の方法を考えなきやってことじやないかな。要するに
僕達、レコーディングが終わったら即座にネットにのせ
ればいいんだ。そうすりゃ問題解決だ。ハハハ……最初
にレコード会社と契約した時にね、随分長い間納得がい
かなかったんだよ。レコードが出来てから4ヶ月後にリ
リースされるなんて変じやないか?特に今じやもうデ
ジタルなんだから、ねえ。|曲50ぺンス(唧円)とって
流せばいいよな。それなら悪くない値段じやん?はは
は……」
●では最後の質問です。今作での、このある種の残虐性
と暴力性は聴く人に何を喚起させると思いますか。
「、っん……終わって聴いた時に驚いたんだけどね。そん
なアルバムだとは思ってなかったから(くすっと笑う)
……でも……希望としては、音楽が浄化してくれればい
いなと。今回も僕がやってるのは、いろんなものを安全
な場所にしまい込むといういつもの得意技なんだよ。音
楽というものの中に押し込めて。全然それらしくない音
楽の中にこんな詞を閉じ込めてさ。これが要するに僕の
折り合いのつけ方なんだ」
JONNY GREENWOOD & ED O'BRIEN interview
『キッド八』を作ってた頃は音楽スノッブになってて、
当たり前の普通の曲がださいよぅな気になってた。
馬鹿なことにさ。
でもある時I I丨ル,ヤングを聰いて、
その美しさに打ちのめされたんだ
『キッド八』『アムニージアック』はいつも一括りに
なっちゃうんだけど、あの時僕達は、なぜバンI
やっ芝のか、どうやったらサウンドを新しいもの
にできるのか等々を必死で見極めようとしてた
んだと思う——ジョI |丨
●こんにちは。ジョニーは惠足以来だね。
ジョニI (以下J) 「オヒサシブリ」
●ひえー、日本語も習得したの?
エド(以下E) 「〈ポーカーフェースで)ぺらぺらさ」
●ははは。では。まず今作のィメージ、構想がいつ頃か
らどんなふぅに始まつたかなんですけど。
E 「、っん。『アムニIジアック』ツアーの最後に話をした
ジヤーナリス卜に昨日会つたんだけども、その人による
と僕達は-】れからどうするんだと訊かれて200 1年の
秋に1〗、っ言ったらしいんだ。『そうだな、ジョ-I丨は個人
的に仕事するけど残り全員は半年間休みをとって、その
あと集まって新曲のリハーサルをやりライヴで試してみ
てレコーデイングするんじゃないかな』って。で、ほぼ
その通りのことをしたんだょ。これは僕達としては充分
に実践済みの方法でね、『ベンズ』も『0ドコンビュータ
丨」もそうだった。トムが曲を録音してくるっていうの
も以前は必ずやってたことなんだ。『キッドパ」『アムニ
丨ジアック』の時はトムや、或いは(横にいるジョニー
に)おまえの中で、かなりアイデアが熟してるものが多
かっただろ?であとの僕達はいろいろ追いつかなきゃ
ならなかった。それと比べたら今回みたいにトム以外の
全員が同じ曲を同じだけ聴いてて、そこから始められる
っていうのは凄くやり易かったんだょ。リハに入る段階
で、あの曲にこういうのはどうだろ、っ、あれはこうした
らいいとか、各人アィデアを膨らましててそれだけでも
張り合いがあって」
J 「それに曲もかなりラフな青写直(状態だったから、み
んなが貢献できる部分が多かったしね。それが楽しかっ
たょね」
E 「ほんっとに楽しかった。いやも、っ。再会した時は全
員しつかり休息をとつたあとだつたし、あ、(とジョニー
に)先生は別だけど。ははは……」
●レコーディングの様子といったらどんな感じでした?
これまでのアルハムを支配していた「気分」と比べて|
うでしたか。
J 「そうだな……『キッドん」『アムニージアック』
つもI括りになっちゃうんだけど、あの時の僕達は、な
ぜバンドをやっているのか、どうやったらサウンドを新
しいものにできるのか等々を必死で見極めようとしてた
んだと思う。でも今回は同じ方法を使っているんだけれ
ども、あれこれ考えるということをしなかつたんだ。そ
のまま実行しよ、っ、やり方はわかってるからって気持ち
があって」
一」のバンドにもて、昔-00た杵柄を利用してみた
いなことって|度もなかったんだよね。でも今回
は、振り返って非常にいいと思える方法なんだ
から、繰り返したって何も恥じるべき〖」とはない
じゃないかとIエド
●じゃあやっぱり『キッドハ」『アムニージアック」方式
をモノにしたレデイオヘッドが立思識的.確信的に初めて
作ったアルバムなんだね。
J「そうなんだと思うよ。それと、バンドとして一緒に
プレイするというアイデアも取り戻したんだよね。それ
って僕としては凄く健全なアプローチって気がするんだ。
いつも、Dr-ドレーとエミネムのレコーデイングを例にあ
げるんだけどね。気に入りのバンドを一部屋にぶち-】ん
で|日中プレイして、その中からいい部分をとつてレコ
丨ドを作る。で、そういうところは僕達の財産でもある
んだよね。その気になればプレイできる。でもそれは持
ち札の1つで箱にしまってあるような感じで、それだけ
に執着しないでもいい、だけど技術としてそれは持って
る。これがすごくいいと思うんだ。忘れちゃいけない部
分だよ。エレクトロニック.ミユージックを完全に理解
してるっていうのと同時にね。勿論、そっちから取り入
れるのも素晴らしいことだし」
E 「結局はI緒にプレイするってところにあるんだよ。
同じ部屋で演ってる時に感じる、周波数とかいろんな偶
然とかさ、そういうのってとても大事で、今回のアルバ
ム作りではみんなそのことを実感したと思うんだ」
J「うんうん」
E 「演奏中のハプニングつてまた、ほんとにあつという
間のことなんだよね。驚くけどね」
J 「っていうことも、当然なんだけど忘れがちだったし」
E 「君が言ったことね、既に学んだ方法論を確信犯的に
利用したというのは全く正しいと思うんだ。このバンド
つて、昔とつた杵柄を利用してみたいなことつて|度も
なかったんだよね。一回何かやったら次はまた別のこと
をしようというのが必ずあって。でも今回は、振り返っ
て非常にいいと思える方法なんだから、繰り返したつて
何も恥じるべきことはないじやないかと。素晴らしい方
法だしやつてて楽しいんだからさ。『キッドパ」『アムニ
丨ジアック』の曲はロードに出てようやく生演奏できる
ようになつたんだし、そうやつて2年間ライヴをやつて
ほんとに楽しかつたんだよ。ここには僕達が根本的にや
りたい何かがある、スタジオでもこの雰囲気を捉えるベ
きだって。当たり前といえば当たり前なんだけど、僕達
の場合いつも当たり前をやる-】とが難しいというのがあ
ったからね。でも今回はごちやごちゃ言わずに流れに乗
って進んでみようって感じだったんだ」
●そうしたパフォーマンスの肉体性と関係があるのかも
しれませんが、ム~7回はロック,ミユージックとしてのダ
イナミズムが戻ってきていますね。
J 「、っん、それは今の僕達の仕事の速さのせいじゃない
かな。多くのエレクトロニック.ミユージックつて、時
間をかけて綿密に-】しらえたような感じがすると-〗ろが
いまいちだと思うんだよね。つまり5分間の曲でも実は
何時間も何時間もあると-】ろから作り上げられたんだろ
うとい、っ気がしてしまうというね。でも僕達はコンビユ
丨夕丨もシンセサイザーもシーケンサIもレコIデイン
グと同時に動くような方法を編み出した。だから5分間
の曲に対してそれ以上の複雑な-】とはやらないんだよ。
だって聴き手の聴き方がそうじやない? 5分なら5分
の曲なんだから」
●あれほど離れていた8ビートやギターのコIドス卜ロ
丨クによるロック的なダイナミズムを今回取り戻したの
は?
E 「ソングライテイングがそうだったんだ」
J 「、っん、曲がそういうものを中心に書かれていたから。
そりや、その手のダイナミズムの中に隠れてしまうこと
で陳腐な感じがすることもあるけど、本当に偉大なレコ
丨ドってどういう構成か気が付かなかったりするよ。ほ
ら、スコット.ゥォIカーのアルバムなんて大半はアコ
ギを核にして出来てるんだけど、全然気がつかないし。
言われて聴き返してみるとようやくストリングスや大き
なドラム,サウンドや素晴らしいヴ才—カルの北!!!:後にア
コギが聞こえてね。要は、どうやって表層を超えて曲の
本質に踏み込んでいくかということで、それによってレ
コーデイングにもいろんな要素が入ってくるんだ。そ、っ、
ほんとに曲によるよ。でも逆に、前作の"ライク,スピ
ニング\フレイツ々みたいに伝統的には考えられない方
法でギターが入って、とても美しい音楽が出来たり。今
作では"アイ,ゥイル"がギ夕丨|本だけど、あれも凄
ぃよね」
●トムにさっき聞いたのですが、そもそもエド、あなた
が彼に「手持ちの曲を00にして聴かせろ」と言ったん
だそうですね。実際、周囲のあなた方からすれば、トム
の懐で歌らしい歌が出来かけてるのに放っとくなんて勿
体ない、という感じだったんでしようか。
E 「そうだよ。うん。で、トムはね、いつも屁でもない
ような顔をするんだ。ははは。今始まったことじやない
けど、まるっきり自分じや価値を認めないんだ。で僕達
の仕事っていうのは『何言ってんだよ、凄くいい曲だぜ
これは」って説得するという契)。けど、あいつ立派だ
ったよ。3枚CDを送ってきてさ、それが半年間の作業
の成果だったわけだよね。なのに『みんながどう思うか
わかんないけど。俺としてはどんなもんでもやる気ある
から、みんな他にやりたいもんあったらそれでいこうぜ」
とかって。あれ、なんか良かったよなあ」
J 「うん」
E 「実にトムらしいんだけどね、全然たいしたもんじや
ないから、みたいに言、っの」
●ほんとにそう思ったんだって、彼も言ってましたよ。
E 「うん。だからこっちは感謝しIやなんだけどさ(笑)」
●それは逆も言えると思いますよ。
E 「つと、そりやありがと、っ」
J 「ふふふ」
今作は精神だけでなく肉体面でのエネル^-も
詰まってるんだよ。今作の曲は勇敢だ。その姿勢
はふさわしいと思うし、もしかしたら未来の作
品にもふさわしいかもしれない^^ド
●『キッド《』の時のインタヴューで「ロックなんか退
屈だ。だってゴミ音楽じやないか」といったトムの発言
が印象的だったのですが、そういう認識によって生まれ
たアナーキーな音楽が結果的にロックの可能性を裏付け
たということ。これは素晴らしい出来事だつたのですが、
あなた方自身もそうした自信によって今作への一歩を踏
み出せたと言えますか?
J 「……うん。多分そうなんだと思うよ。僕達ぐらいの
レベルになってくると沢山のバンドがまちがいを犯し始
めるというか……一種類のサゥンドだけに絞られてきち
やったり、凄く気に入ったレコードに出会って結局その
レコードを作ったバンドの音みたいになっていったり。
本当に自分達の音というのを作り続けるバンドつてあま
りいないんじやないかな。まるでロックンロールつてい
うのが純粋なもので60年代だけに存在してるかのような
感じだよね。ちようど、クラシック音楽でオリジナルの
楽器を使わないといけなかったりする場合と似てる。ひ
どく純粋主義的で、僕には奇妙な感じがするんだけど
……。でもいつだって、誰かがドラムスを叩いてるとか
楽器がその辺に転がってるっていうだけでわくわくもす
るわけで、矛盾してるんだけどね。それは僕達も解決し
てない部分だと思うし、考えるのもやめたんじゃないか
な」
E 「あと、ライヴ面でいうと、実際に演奏する場ではど
うしたってロックっぽい傾向にはなるんだよね。ロック
は空間の中でとてもうまく機能するから。ダイナミクス
を伝えるとか、そういう面でね。僕達の中でもライヴと
いうのはいつも大きな部分だったし、92年初頭から『O
Kコンピユーター」が終わった98丨ばまで基本的に止
まることなくライヴを演り続けてたんだから、これは相
当長い間ロックし続けてたことになるしさ。勿論『キッ
ドパ』『アムニージアック』が出る頃には、スタジオ内で
何よりも避けようとしてたのがロック的なものだったわ
けだけど。でもそれをライヴで演り始めたら再び曲のダ
イナミクスを取り戻すのも当然だったというさ」
J 「でも面白いのはやっぱり曲が主だってことで。その
ことはいつも僕達の頭にあったし、トムが"ピラミッド.
ソング々にせよ、今回の"セイル^トゥ,.ザ.ム丨ン"
にせよ僕達んとこに持ってきた時、みんなの頭に浮かん
だのはどんなに素晴らしい曲かってことで、決して変わ
ったサウンドを出してどうなるかやってみようなんてふ
うに始まったことはないんだよ。いつだってポイントは
この曲をどう活かすかってところで、それはある章〉味ビ
クビクものでもあるんだけど、いつも一番楽しいのもそ
こだしね」
E 「でも最初からそうだったんだよ」
J 「そ、っ、どうアレンジしようかどうレコIデイングし
ようか、曲がいいことだけはわかってるんだからってい
うね」
●ジョI |丨は以前、『キッドパ』の内容を|言で表すと「混
纯」と言ってましたが、今作は?
J 「……そうだな……」
E 「僕ならエネルギIと言、っ。(ジョニーに)ちよつと、
そんなに目の前で仰天した顔しないでくれよ」
J 「たちの悪いエネルギーね(笑)。いやいや、うん。全
くいえてるよ」
E 「なんだかなぁ(笑)。いや、この前の日曜の晩、3週
間ぶりに聴いたんだよねこのアルバム。マスタリングや
ら曲順の決定やら全部すんで、よし改めて聴こうって。
で、かけてみるとまず最初にギ夕Iのコードが差し込ま
れるカチって音がして、待てよこれこそエネルギーだ、
こりやあダイレク卜だって。考えてみたらそういうもの
が僕達のアルバムにあるのって『ベンズ』以来なんだよ。
ってい、っのも、僕達が迪った人生の中では『0ドコンビ
ユーター』までにもうエネルギーの種員#変化してて、
それは前ほどダイレク卜ではない、もうちょっとゆった
り目の雰囲気と感触のものになってたんだ。だって肉体
的にずっと同じエネルギーじややってられなかったか.ら
ね。今作は6ヶ县みをとったからこその、精神だけで
なく肉体面でのエネルギーも詰まってるんだよ。僕とし
てはこのアルバムはそこが抜きん出てると思、っ。6枚目
ともなればえてしてミツド,テンポなレイドバツクした
アルバムを作っちゃうバンドが殆どだろ。曲もだいたい
必ず5分前後あったりして。バンドってどうしてもそう
なっちゃうものなんだよ。だからこそこのアルバムは凄
いと思、っ。今作の曲は勇敢だよ。決して一ヶ所に長居し
て飽きられるようなことをしない、というのは僕達が初
めから心がけていた1〗とだけどもね」
J 「うんうん」
E 「で、今作にその姿勢はふさわしいと思うし、もしか
したら.の作品にもふさわしいかもしれない、でもと
もかく今作はまちがいなくそういうものだって-】とだよ」
●トムにとっては『0ドコンピユI夕—』のあとがやっ
ぱり|番の転機になったみたいだけどあなた方にとって
はど-】が最も大きな転機だったと思いますか。
E 「……でもアルバムごとにそういう面はあったと思う
な」
J 「僕は『ベンズ』の段階でそういう経験をしたよ」
E 「凄くいえてる。あと『0ドコンピユIタ丨」で^^^,
あれを作った時みんなに、これは『ベンズ』パー卜2じ
やないとさんざん言われてね」
『キッド八』『アムニージアック』の時期っていうの
は全員がばらばらなタイミングで方向に動いて
いたし、思い返せば暗い時もあった。でもなぜか
惰性で続いたというか、僕達、不思議な弾み08
ってたんだ。ある意味、プロセスを盲信してたんだ
と思う—エド
J 「で、どうもそれはよろしくないことらしい。がつか
りしてた人が大勢いた」
E 「ほんと。で僕達はみんな、これこそ『ベンズ」とは
全然違うものだって盛り上がってたという……(笑)。要
するに、煮詰まってたってことなんだと思うな。方法論
を|回使い尽くしたんだよ。『ベンズ』『。ド〜』は作り方
の点で凄く似てて、それは今回の方法なんだけど、リハ
丨サル丄ツアーで新曲披露丄レコーデイングとい、っプロ
セスで。それに煮詰まってしまったんだ。新しいサウン
ドを作り出したかったら設定から変えるのが一番手っ取
り早いわけで、それがまさに『キッドパ」『アムニージア
ック』だった。リハ厂サルも含めてすべ1の曲をスタジ
才の中で形作っていって。より長引くプロセスだけどね。
結局あの時期にやったことといえば何よりも、それまで
の6年或いはそれ以前の学生バンド時代からの年月を振
り返って考える、ってことだった。もう自分達はあの初
めの頃のバンドじやない、あの頃の|人|人でもないっ
てI僕達|8年I緒にやってきてて、|0代の頃から30代
の今まで考えたらもう実にいろんなことがあったよ。5
人の人間は一緒にいてもそれぞれいろんな時期にいろん
なふうに変化していったし、『キッド〈」『アムニージア
ック」の時期っていうのは全!!貝がばらばらな夕イミング
でばらばらな方向に動いてたけど、最後にはまた|つの
地点に着いて同じことを考えてツアーにも出られる状態
になつてたと、そういうことなんだ。驚くけどね、人に
もよく言われるし。どうやって生き延びたんだ?って。
実際あのぐらいの年齢で解散するバンドは多い。わかる
よ、思い出せばたしかに暗い時もあったしさ。でもなぜ
か惰性で続いたというか、僕達、不思議な弾みにのって
たんだ。ある意味、プロセスを盲信してたんだと思、っ」
J 「うん」
E 「来る日も来る日もオックスフォIドのスタジオに通
い詰めて、そりや暗かったよ。99年のね、よく覚えてる
けど|2週間まるまる、殆ど何も進まなかった。それでも
通った、しつこくしつこく。そこから最終的に生まれた
ものがあったんだけどね。何なんだろうねあれは、惰性
なのか頑固さなのか------」
J 「まあ仕事中主母っていうか。ちよっと不健康だけど、
人って充分に仕事してないと罪悪感を持ったりするだろ。
それで実際にやりすぎちやうんだけど……僕達にもそう
いうことが起きてたんだよ。働かなき.や、続けなきやっ
て」
E 「イギリス人にとって趣味がどういうものかって話、
知ってるだろ。土曜の朝早くから庭の隅で飽きもせずい
つまでも何かこちよこちよ作り続けてるってい、っ。それ
で却ってストレスたまっちやうってい、っ。いわば国民的
特質だよこれは」
J 「うん(笑)」
E 「多分これも僕達が学ばなきやならなかったことなん
だよ。あ、おまえは違うのかもしれないけどね、余暇の
時間で『ポディ,ソング」の音^^ったしな。でもそ、^
僕達今度はリラックスするつて-】とも学ばなきやならな
かったんだ。たまには休めって。イアン.力Iの書いた
マイルス.デイヴィス伝を読んで感動したんだけど、マ
イルスって休みを取る-】とに凄く執着してたんだって。
ずっと仕事し続ける-〗ともできるけど実は休みをとって
距離を置く-】とで頭を違うふうに使、2】とができる、と
いう立派な理由付けがあってね。ずっと続けていたのと
は違うアプローチを思いつけるとい、つ。そうい'つ能力も
僕達は身に付け始めたわけ。このアルバムはその証だよ。
3週間リハをやりー週間休んで、3週間レコIデイング
して2週間し〈に行き戻ってきて3週間してから2週間
スタジオに入り……そんなふうにかためて仕事して休ん
での繰り返しだった。しかもこの方が作業が速かったん
だよね。僕達はI〜2週間集中して作業するのは得意な
んだよ、でその終わりにはボロボロになってるんだけど
さ。で……ごめん、迷走したな。エネルギー切れだ、は
まま」
J 「でもなかなかだったよ、高速運転で(笑)」
●レコーデイング前、レコーデイング中にはどんな音楽
を聴いてました?
J 「んI、僕はギターが入ってるものだと何でも聴きづ
らくってさ。だから主としてクラシック音楽だったけど。
ああ、あとレゲエもいっぱい。卜ロージヤンものをいろ
いろ聴いてて、楽しいよねあれ。凄くいいな」
E 「僕個人はロックを聴いている。その理由はね、98年
から01年の半ぱまで3年間音楽から凄く遠のいてて、我
ながら心配だったんだけど全くどんな音楽でも体が動か
なくなってたんだ。で0|年の半ばに突然また扉が開いて
目からゥロコって感じで。ってい、っのも、僕は僕なりに
音楽スノッブになってて、当たり前の普通な曲がダサい
ような気になってたんだ。自分達は『キッドパ』みたい
なのを作ってたもんだから、ギ夕—、ドラムス、ベース
にシンガィっていう構成のバンドを聴くと何だか恥ずか
しくて困っちやうような感じだったんだよね。馬鹿なこ
とにさ。でも、ある時、ニール.ヤングを聴いて、『オン.
ザ,ビIチ」『卜ゥナイツ,ザ,ナイ卜』『ハーヴXス卜」
とね、ただもう音楽のシンプルさと圧倒的な美しさに打
ちのめされて、いいんだよこうい、っ音楽を好きでも、っ
て手を取って連れ帰ってもらったような感じだったんだ。
美しいんだから恥じる必要はないんだ、って。ニールが
横にいてくれれば恐いものなしさ、何だって受け入れら
れる」
COLIN GREENWOOD & PHIL SELWAY interview
自意識過剰な気分がずっと僕達を支配していた。
『ヘイル,卜ゥ,ザ,シーフ』で初めて
僕達それを忘れる〖」とができたんだよ
『ベンズ』の頃に本当に痛感すIうになったんだ。
レコーデイン系始まったら誰も入って一」变い泡
で自分達6^?:^囲んでお差いってIフィル
●レデイオへッドの前2作でやってきたことがより有機
的に活かされた作品ですよね。
フイル(以下P) 「そうだね。というか僕なんか、これま
でのすベてのアルバム作りから学んだ手法をうまく取り
込んだって気がしてるよ。入念に準備しながら、その時
もう自信があった。自分達はスタジオに入り、そこでパ
フォIマンスのエネルギーとかそういったものをアルバ
ムに捉えることが出来るんだって確信してたと思うよ。
こういうのは初めてだった。ほんとに過去11^んだすべ
てを利用したと思うな。ミユージシヤンとしてもどんど
ん優秀になつてきて、いろんな新しいサゥンドを取り込
んできて……僕達の作品を聴いてきた人なら、この3年
間のサゥンドにはすごく共通するものがあるつて感じる
と思うけどね」
●ここでちよつと、これまでのレディオヘッドの歴史を
アルバムを一枚ずつ追いながら、ここまでの道のりを迪
つていきたいんですが。
P 「まあ、長くやつてるもんねえ(笑)」
コリン(以下C) 「半ズボンの時代から話せ、と」
●まずよく言われているのは、デビュI当時はピクシー
ズにはまつてたつていう話ですよね。
P 「そう、フロデューサーの人選もそれがすごく反映さ
れてた。ショーン,スレィツとポール,コルドリーつて
ぃぅのはまさに当時の米裹泄岸シーンだったし。僕達の
観点からすれば、勿論あの頃はあの頃で自分達の曲に自
信はあったけども、結果的にそれまでやったこともない
ような次元の仕事をすることになったんだ。デビユー.
アルバムはメジャー.レーべルから出る-一とになつたし」
C 「凄く気が重かったよ」
P 「そ、っ。3週間でレコーディングしてさ。ショーンと
ポールにしても、なかなか気の重いレコードだったと思
うし」
C 「うん」
P 「だからいろいろ難点はあって。でそういった事情が、
あそ-】で僕達がやろうとしてた-〗とに制約を与えて上
思うんだ。僕苜身はあのアルバムにあるエネルギー
いと思うんだけど、当時の僕達の音とはちよっと違^
がしてる」
C 「それと、契約切られるんじゃないかってい、っ4^に
I番近づいたのもあの頃だよな」
●今のファンからすればそんな時代もあったんだ、って 感じですよね。
C 「誰の話してるんだっけ?」
P 「ごめん、実は別のバンドの話なんだこれ!わははは」
●『ベンズ」でI回すごく飛躍した、という認識はバン
ド内にもあったの?
P 「そりゃあね、『パブロ.ハニー」までにもう5、6年
はやってたとはいえ、僕達の学習曲線は『パブロ.ハニ丄
と『ベンズ』の間で一気にジャンプしたからね。突如いろ
んな経験をさせられたり随分と細かいと-】まで設索され
たりして、それが『ベンズ』ってい、っアルバ厶を作る上での.
アプローチにも影響したよ。そ、っ、あの頃に本当に痛感
するようになったんだ……レコーデイングが始まったら
自分達だけの空間を作っておきたい、誰も入って-〗られな
い泡で自分達のまわりを囲んでおきたい、ってい、っ風にね」
C 「それにツアーも沢山やつたから、バンドとしてプレ
イする上での自信もついて。レコーデイングでもね。と
はいえ難関は難関だったけど……卩《ドスタジオに、8
週間いたんだっけ?」
P 「そう、拷問台〔503の日々」
C 「^夭)でそのあとマナー,スタジオで2週間。その間
に何度かギグを演ったのが良くて、それに通じる部分が
僕達のアルバムにはよく出てくるんだよね。つまり、ラ
イヴを演るってこととレコーデイングは僕達の中ではす
ごく繋がりがあるんだ」
●「ベンズ」ではデビユー,アルバムとはまた違、^プレ
ツシヤーがあつたりもしましたか。
C 「テープを受け取ったんだよね、オアシスっていうバ
ンドから。ロンドン.アストリアで僕達の前座に出して
ほしいって話で。94年の5月だっけ?」
●(笑)へえ、そんなこともあったんだ?
P 「で僕達の反応はというと?」
C 「思い出せないや。自分の苦境で頭がいっぱいだった
んじゃ^いかな(笑)」
P 「楽なレコーデイング.セッションじやなかったから
ね。思うんだけど『パブロ.ハニー」をやってる間にすご
く疑惑が頭をもたげてきちやったんだよね、自分達のラ
イヴと同じ音をスタジオで録れるだろうか、って。でこ
の疑惑が『ベンズ』の頃には見事に現実化してしまった
と。リハーサルの間は日取高だったんだけど、スタジオに
入った途端まるで別のバンドみたいになっちやったんだ」
C 「そうそう、ぎゅううって(首を締められる真似)」
P 「突然、多ロセスがすごく自意識過剰なものになっ
てしまった。でそうい、っ、大丈夫なんだろうかっていう
自意識過剰がスタジオ内の気分を何よりも支配していて、
それって実は今回のアルバムに迪リつくまではずっとあ
ったものなんじやないかと思、っ。「ヘイル.トゥ.ザ.シ
—フ」で初めて僕達それを忘れることが出来たんだよ」
C 「I言える。僕達、ジョン,レッ4^—がフロデュIサI
としてそんなにいろいろ難しいセツションを経験してる
なんて知らなくてさ。というわけでこっちが何をやって
よ、っが、彼は彼で素晴らしいアルバムをプロデュースし
ちやったわけ。ポールとショーンも今までミキシングし
た中で最高に録音のいいアルバムだって言ってたし。ジ
ョン,レッキーのおかげだよ。今でも僕は彼に対しては
尊敬の気持ちでいっぱいだな。だってほんとに、楽なセ
ッションとは言えなかったからさ.......。でもフイルが言
った通りだと思う。『ヘイル.トゥ.ザ:ンーフ」で初め
て僕達『来週スタジオに入ってそこで演奏してそれを録
るんだ、楽しみだな』って感じたんだよ。3週間やって
ギャアアアアって頭抱えてどうしようもなくなっちやう
なんてことが起こらなかったのも、今回初めてだった」
僕連全員、今回はさっぐはらんに喋ってたんだよ
ね。僕連って甘と、1」と実は楽し
めてないって一」ともあ^^.0さ(笑)Iコリン
●エドは今作には「ベンズ」以来久々のエネルギーがあ
ると言っていましたが、あなた方も同感でしようか。
C 「そうだね。特にエドは『キッドム」『アムニージアッ
ク』の時期には考えてたと思うんだI僕達の音楽の中
に再びエネルギッシユな部分は戻ってくるんだろうか?
そうでなきやバンドの自はどうなるんだろ、っ?果た
して自分はこのまま続けていきたいだろうか?って。だ
から今回のセッションはあいつ、心から楽しんでたと思 、
っ。すごくね。でも楽しめたのは……僕達全員、今回は
ざっくばらんに碟ってたんだよね。これはやってて楽し
いとか、楽しくないからこれはやらないとか。僕達つて
わりと、やることはやるけど実は楽しめてないつてこと
もあるからさ0天)……」
P 「なんともイギリス人なんだけどね、自分の中で抱え
込んじやって。『キッドパ」『アムニ Iジアック」でー年
半以上だろ、よく踏ん張ったよ(笑)。僕達もう20年近く
|緒に仕事して、とても信頼感のある#^を作り上げて
きたわけだしね。とにかく今回の作業方法はほんとに最
高で。すごく集中してて、絶対クリスマス前には終えた
いって決めてたし、だからこそ途中で諦めなきやいけな
かった曲も沢山あった。それをやり続けてたら横道に逸
れちやうからね。ともかく、勢いづいてたから」
C 「途中で止めるっていうのも正しい決断だったんだよ。
どの曲は放り出すかっていう。僕達の仕事だと、何か盛
り上がってるものに対してはエネルギーも湧くんだけど、
そうじやないとど-〗までも終わらないんだよ」
P 「そ、っ、それが『ベンズ」の時の^員で。どこまでも
抜け出せなくて」
C 「何週間も無駄にしたんだ。ひどかった」
P 「場の勢いを取り戻すのが何より大変だった。ほんと
にそんな中でジョン.レッキーはあっぱれな仕事をした
よ」
C 「6、7年前にグラストンベリーで彼に再会した時、
思わずぎゆうっと抱きしめちやったんだ」
僕は昔のセッションのDATを時々聰いてみ更
だけど、『OKコンビュ"^丨』籍当困難で痛々し
いアルバムたった気がする一^リン
●(笑)。『OKコンピュー夕—』はどうですか?あなた
方としては。
P 「天才少年、初の本格的登場」
C 「そうそう天才少年ナイジェル。あのレコーデイング
って二つの面があったんだよね。半分は今作と同じよう
に、丨週間で20曲出来ちやってス夕ジ才に入ってそれを
さつさと録つて、半分は前から引きずってた自己懐疑に
やられてて、ジェIン,シIモアの家(ネ英国女優の所
有する田舎の大きな家で、住み込みのスタジオとして使
われている)の廊下を行ったり来たり……。僕は昔のセ
ッションのDATを時々聴いてみるんだけど、あれも相
当困難で痛々しいアルバムだったなって気がして。聴き
返してみると相当辛いと-】もあつたよ」
P 「そ、っ、最初は見事な振り出しで、だんだん細かいと
1】ろに足を取られていつちやったんだ」
C 「フロデュースの記録が残ってる0《丁なんだけど、
聴き返すと面白いんだ。ナイジェルとトムがコン卜ロー
ル.ルームにいて、トムがえらく細かいところまで指示
を出してるわけ。あの仕切りようはちよつとすさまじい
ね。その後そういうところはトムからも、バンドからも
なくなつていつたわけだけど。じやないとやつてられな
かつたからさ。でも今聴くと可笑しいよ」
P 「それと、ゥノ 1.サプライゼズ,ね、あれなんかが当
時の状態を象徴してる。最初の最初にレコIデイングし
たヴァージョンが結局アルバムに収まったりして」
C 「14種類だか20種類かのヴァ|ジョンがあって」
P 「ともかく40回は録った。終わりなきテープの山だよ。
で、最終的にレコーデイング初日の最初のー時間内に録
つたやつに決めたんだ。ま、それが『0ドコンピュー夕
丨』を一言で言い表してるよ」
C 「だからそういうことは今回はやめようと。今度のア
ルバムって面白いと思うんだよね。決して僕が『キッド
A」と『アム 一11ジアック」が嫌いなわけじやなくて----
僕は「キッドパ」は大好きだし「アムニージアック」に
入ってる曲にもすごく好きなのがいくつかある、でも今
作は|貫性とか方法論とかいった点では「ベンズ」と『O
Kコンピユーター」に近いものを感じるんたよな」
●今回、ロックのノリが戻ったのは?
C 「ライヴ盤『アイ,マイ卜,ピI, ロング』を出した
1一ととすごく関係あると思うよ。もしスタジオに入る前
にライヴをやってから作り上げてたら『キッドパ」『アム
ニIジアック」の曲の-部はこんなふうになってた、っ
ていうのがあれでわかるというのがトムの考えで。あい
つすごく乗り気で、選曲編集も自分でやってさ。びっく
りしたんだけどね、ライヴ盤でそんなに張り切るなんて。
でもそれが今作のレコーディングに向けてのトムの、あ
と勿論バンド全体のね、姿勢に影響したと思うんだ」
●じや『キッドハ』『アムニージアック」です。|言で言
い表してどういうものでした?
C 「フライオリ(^央国1のリハビリ.センター)に6
週間隔離。ははは。オックスフォードに6週間かな、全
員フワフワしたガウン着て胸に名前が書いてあって」
P 「自分の名前を忘れちゃわないように(笑)。うん、音
楽的なこと以上に精神面で大きかったんだよ。『キッド〈」
『アムニージアック」はあらゆる-】との意味をもう|度捉
えなおそうという時期で。レコーディングを始めた頃は
やる気は実に盛り下がってたし。だから、実にゆっくり
始まって最後にぱっといった感じだな」
●まさにあそ-】であなた方は自分達を作り替えようと、
メンバI ,チヱンジ以外のあらゆる-】とをやりましたよ
ね。やっぱりあれがこれまででも最も大きな転機だった
といえますか。
P 二番の大掃除ではあったよ。『OKコンピユー夕—』
でこのバンドはあるレべルにまで達していてI例えば
あそこでおしまいにしたとしても、それなりに満足はで
きたと思うんだ。でも「キッドみ」『アムニージアック」
の時に改めて感じたんだよね、もし続けていくなら楽し
みたいからやるんだし、|緒に演りたいからやるんだっ
て。そうい、っ意味では『キッド〈」の作業の意味は、自
分達が一緒に音楽をやっていく上でどういう価値観を土
台とするかを明らかにしたっていう点にあったんだ。だ
からこそ、今回のアルバムを始める段階での自信もはる
かに大きなものだったし」
C 「バンドをやる理由としちや退屈みたいだけど、そう
は思わない。僕としてはとても大事なことだから。僕は
いやだな、気が合ってI緒にいた仲間と最後は……ほら、
バンドってだいたい解散したあとは憎み合うじやない?
あれはごめんだ。友達で、|時有名なバンドのシンガー
だった奴がいるんだけど、昔の仲間のこと殺しても足り
ないつて言ってるよ。そうはなりたくないしさ」
P 「年齢的なこともあったとは思うんだ。あの頃みんな
ちょうど30に差し掛かるか超えたかそのぐらいの時で、
随分と自分に対するゆとりも出てきた、というのはあっ
たよ。実際『0ドコンピユー夕丨」のあとあたりから前よ
りもみんなバランスのとれた人生を送るようになって、
更にいろんなと-】ろから影響を受ける余裕も出てきたん
だと思う。ほんとに、『OKコンピユータ|』までは20代の
僕達って人生すベてがバンドのまわりを回ってたもんな」
C 「あのまま30代で人生終わるなんていやだったよな」
P 「20代のうちにも素晴らしい経験は沢山したけど、同
時にいろんな-】とが脇を通り抜けていっちやったんだ。
やっぱり、30代になってもバンドを続けていくならそれ
なりに考え方も大人にならなきややってけないよ」
C 「歳を経てくるにつれて思い出も大事になってくると
思うんだよね。っていうか、いい思い出を持ってるっ
ことが。振り返っていやな思い出ばかりなんてふうにな
りたくないよ。そうい、っ意味でも気持ちよく仕事する
てのは大事だと思うな」
Radiohead | Hail to the Thief